今回のYANAGIBASHIかわらばんは薬剤科が担当します。
6月に入り、今年は例年よりも気温の上昇が激しく感じられます。気温が急に上昇すると心配されるのが熱中症です。
今年は電気料金の高騰があり、冷房を控える方も増えてくることが予想されます。しかし、毎年言われていることですが、熱中症予防には適切な温度が大切です。家にいる時はあまり暑さを感じなくても、室温を確認し、適正な室温を保つようにして熱中症を防ぎましょう。
熱中症予防では、小まめな水分補給も大切です。
ドラッグストアや薬局で手に入る経口補水液は、基本的に軽度から中等度の脱水症の方に使用する病者用食品です。よって、あまり脱水が進んでいない場合は飲みにくさを感じることがあります。
そこで今回はご家庭にある物で市販の経口補水液に代わる、比較的飲みやすい飲み物を3種類ご紹介します。
麦茶は日本人にとってなじみ深い飲み物で一説によれば、大麦が日本に伝わってきた紀元前2~3世紀頃には、麦茶の原型があったのではないかと言われています。また、江戸時代には夏になると麦湯と言われる、温かい麦茶の屋台が出て楽しんでいたそうです。
麦茶は、カフェインの含まれない体に優しい飲み物で、離乳食が始まった赤ちゃんから飲むことができます。さらに麦茶は、体を冷やす効果がある飲み物で、まさに夏にはうってつけです。この麦茶をベースにした飲み物を2種類ご紹介します。
作り方
麦茶1ℓに塩1gを混ぜる
非常に簡単な飲み物で、一度は飲んだことがある方も多いと思われます。塩1gは、一つまみ(3本の指でつまんだ量)くらいです。この分量では、それほど塩味は感じられないかと思います。しかし、麦茶が冷たいと強く塩味を感じる場合があります。
作り方
① 清潔なタッパー等の器に少し崩した梅干しを数個入れる
② 梅干しの頭が隠れるくらい蜂蜜を入れる
③ ②を2~3日置いて梅エキスを蜂蜜に移す
④ ③を麦茶にお好みの量を入れて完成
③で出来上がった蜂蜜梅干しは、そのまま食べても美味しいです。ただし、1歳未満のお子さんの蜂蜜の接種は避けた方が良いため、小さなお子さんには注意が必要です。また、塩分が多めになるので、塩分を摂りすぎないようにされている方も、注意して接種してください。
少しでも、市販の経口補水液に近いものが良い場合は、簡易的な経口補水液がご家庭でも作れます。
経口補水液はWHO(世界保健機構)でレシピが示されています。そのレシピに近いものが、より体に吸収されやすいのですが、世界中どこでも簡単に作れるような簡易的なレシピが存在します。そのレシピをご紹介します。
作り方
水1ℓに塩3gと砂糖20~40gを混ぜる
このレシピは、WHOのレシピにあるクエン酸ナトリウムや、カリウムの添加を除いた非常に簡単なものです。塩と砂糖が溶けにくい場合は、少量のお湯で先に溶かしてから水に混ぜてください。しかし、飲みにくさを感じる味のため、警視庁のTwitterで話題になった経口補水液についても少しご紹介します。
作り方
水800㎖と果汁100%ジュース200㎖、塩小さじ1杯、砂糖大さじ2杯を混ぜる
今回ご紹介した飲み物は簡単にできますが、保存料を使用していないため、作ったその日中に飲み切るようにしてください。
また、市販の経口補水液のようにミネラルバランスを計算して作られてはいませんので、脱水が酷くなる前の水分補給に使用してください。
小まめな水分補給と適切な温度管理、十分な休息をとって、熱中症を予防し今年の熱い夏も元気に乗り切っていきましょう‼