世界情勢を鑑みてコロナ禍以後初めて再開された東京都立大学とインドネシア大学の国際交流プログラムの一環として、2023年2月8日(水)両校より視察団6名が来院しました。視察団は米丸院長、リハビリテーション科スタッフとの意見交換会に臨み、病棟やリハビリテーションセンターをはじめ院内を見学されました。
来院したのは、インドネシア大学職業教育プログラム 応用健康学部 Muhammad Hidayat Sahid氏(学部長秘書,OT) 、Badra Al- Aufa氏(病院管理プログラム学科長)、Vindaniar Yuristamanda Putri氏(国際課担当者)の3名と東京都立大学健康福祉学部より浅川教授、市川特任准教授、須山准教授がお越しくださいました。
インドネシアの人口は、世界第4位の2億7千万人です。現在の平均寿命は60歳代であり、超高齢化社会の日本ほど高齢者は多くなく、リハビリテーションそのものが広まっていない状況です。教育機関は、理学療法士は4大学、作業療法士は2大学しかありません。今後高齢化社会に入っていくことが予想されているため、セラピストの育成やリハビリテーション施設の必要性が高まると思われます。
今回の視察の目的は、日本のリハビリテーション、特に回復期リハから在宅領域の全体像を学び、また現場を視察することによって、インドネシアでの理学療法士、作業療法士教育のカリキュラムの参考にしたい、との思いからです。
名刺交換会
院長挨拶
病院紹介
リハビリテーション科 伴科長による案内のもと、一行は作業療法室、理学療法室、回復期リハビリテーション病棟、医療療養病棟、柳橋リハビリテーションセンターなど院内全体を2時間ほどかけて視察しました。
見学された各部署では、電子カルテシステムやリハ介入におけるセラピストの取り組みや姿勢について興味を持たれた様子で、熱心に質問をしたり、関心を示されていました。
電子カルテの説明
スタッフへの質問
外来の見学
リハセンターにて
実習生への質問
にぎやかなリハ室にて
見学を終えて、意見交換会が行われました。
来日されて驚かれたのは、日本の高齢者が元気であること。インドネシアでは80~90歳代の高齢者の方を見ることが少なく、60歳代で活動性が下がり、徐々に弱っていってしまう印象があり、当院でリハをしている患者さん・利用者さんの姿を見て、力強いなと驚かれていました。
インドネシアでは、患者さん同士が同じスペースでリハを行うことはまれで、1対1や自宅の個室などでリハを行うことが多いそうです。お互いに見える場で明るくコミュニケーションをとりながらリハに取り組んでいる姿が印象的だったと感想を述べられました。
また、セラピスト同士が連携を取り合い、患者さんの回復のためにチームとなることはあまりなく、共通の管理ツールも少ないとのことでした。
事前に、講義で日本の医療制度とリハビリテーションの流れを学んでこられたそうですが、実際の現場を見ることができて、イメージがより具体的になり有意義な時間となったと言っていただき、大変うれしく思います。
意見交換会にて
最後に、当院は日本でも観光地として有名な浅草や上野が近いですが、滞在は楽しまれていますか?これから帰国までの間に楽しみにしていることはありますか?とお尋ねしてみました。
「渋谷や新宿など、高層ビルや発達した街並みも訪れてみましたが、やはり日本の伝統的な寺院などのほうが好きです。浅草寺などに行こうと思っています。あと、日本のアニメが好きな家族のお土産を買いに秋葉原に行こうと思います。」と滞在を楽しんでいるお話をお聞きすることもできました。
反対に、日本からインドネシアに観光に行くとしたらお勧めはありますか?とお尋ねしてみたところ、
「大学のあるジャカルタは都会的ですが、インドネシア本来の文化や風土を感じるにはジョグジャカルタ、バリ島がおすすめです。ぜひインドネシアへいらしてください!」と教えていただきました。
(posted by 広報担当)