台東区の拠点病院としての役割を担う循環器内科は、常勤医6名全員が日本循環器学会認定専門医であり、心筋梗塞・狭心症などの虚血性心疾患、心不全、心臓弁膜症、心筋症および不整脈疾患等の循環器疾患に対して、それぞれの分野における専門医・指導医のもと精力的に診療を行っています。
さらには腎動脈、鎖骨下動脈や下肢慢性閉塞性動脈硬化症に代表される末梢動脈疾患に対しても、カテーテル加療を含む包括的加療を行っています。
また地域医療に貢献すべく、現在は24時間365日体制での診療態勢を整え、緊急での心臓カテーテル検査ならびに経皮的冠動脈インターベンションを行っています。
受診の際には、かかりつけ医の先生からの紹介の場合には紹介状を持参して頂くと、経過が分かりやすく、その後の診療がスムーズに行えます。
また、ご自身では循環器疾患とは分からず一般内科に初診で受診した場合にも、診療科の枠を超えた医師間の連携により、循環器疾患に対する加療が速やかに受けられます。循環器疾患は緊急での加療を要する場合も多く、体調や具合が悪いときには紹介状の有無に関わらず受診していただいて結構です。
診療については、十分なエビデンスに基づいた保存的薬物加療に加えて積極的な最先端のカテーテル加療の実践を心掛けています。
また、患者さま個々の診療に際して、外科的治療が必要な症例には、速やかに心臓血管外科と連携し、患者さま一人ひとりの病態に応じた質の高い医療の提供を心掛けています。
一旦治療が完結し落ち着いた場合には、逆紹介を通じて近隣の先生方との連携を保ちつつ、地域に密着した地域完結型の医療を目指しています。
急性冠症候群(不安定狭心症、急性心筋梗塞)に代表される虚血性心疾患への冠動脈インターベンション(PCI)から冠危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症)のコントロール、禁煙指導および栄養指導にわたる幅広い診療を行っています。
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)については、学会活動を通じて積極的に最先端の手技を導入し加療を行っています。通常の虚血性心疾患(狭心症、陳旧性心筋梗塞)に対する心臓カテーテル検査ならびに経皮的冠動脈インターベンションについては、クリニカルパスを用いた3日間での入院加療を実施しています。また、疾患の程度に応じて患者さまのニーズに沿う形で2日間での入院加療も行っています。
当院は日本心血管カテーテル治療学会の研修関連施設に認定されており、同学会の専門医・指導医のもとに年間200~300件に上る冠動脈へのカテーテル治療を行っています。
末梢動脈疾患とは、主に下肢動脈が狭窄、閉塞することにより発症する疾患です。症状として、歩行時の下肢の冷感、しびれ、疼痛などが出現します。放置しておくと、下肢が壊死に陥り、最悪の場合には下肢切断に至ることもあります。足に潰瘍、壊死が認めた場合の5年生存率は約50%程度とされ、早期の胃がんより悪いとの報告もあります。下肢末梢動脈疾患のなかでは、下肢動脈の狭窄による血流障害(虚血)による段階を下肢閉塞性総脈硬化症(ASO;Arterio-Sclerosis Obliterans)と呼び、下肢動脈の閉塞等、血流障害がより悪化した場合を重症下肢虚血(CLI; Critical limb ischemia)と呼びます。その他、当院では腎血管の狭窄に起因する腎血管性高血圧や、上肢への血流障害による一過性の失神発作の原因である鎖骨下動脈狭窄症に対しても、カテーテルインターベンションによる加療を実施しており、動脈硬化による末梢動脈疾患に対して薬物療法を加えた包括的血管マネージメントを行っています。
外来受診時に5分程度で施行可能な「ABI検査」により両腕・両足の血圧を測定することで、簡単に下肢動脈疾患があるかどうかを判断することができます。この検査は同時に脈波を測定することも可能であり、ご自身の血管年齢を推測することも可能です。下肢動脈疾患が疑わしい場合には、診断を確定するために造影剤を用いた「下肢血管造影CT検査」や造影剤を使用しない「MRI検査」を追加します。通常、「MRI検査」では動脈硬化の指標となる石灰化を評価することが困難であり、「下肢血管造影CT検査」がアレルギー疾患、喘息の既往や腎機能も問題等で施行できない場合に行います。これらの検査により、下肢血管における狭窄や閉塞病変の部位や重症度を正確に評価することが可能となります。
治療方法としては、運動療法、血液をサラサラにする薬(抗血小板薬)を内服して症状を改善させる薬物療法、冠動脈疾患と同様にカテーテルによる治療(EVT;Endovascular treatment)、人工血管や患者さま自身の静脈をグラフトとして使用するバイパス手術(外科手術)などがあります。当院では運動療法、薬物療法ならびにEVTを組み合わせて治療を行っています。患者さまの症状の程度、病変の部位と重症度、治療に伴う危険性を考慮して外科的手術を考慮する場合もありますが、今のところは全症例がEVTでの治療で完結可能となっています。治療に際して、下肢動脈疾患患者さんのおよそ半分が冠動脈疾患を合併していることが報告されており、冠動脈造影検査も行い心疾患の合併の有無も同時に評価を行っています。EVTについては、冠動脈治療と同様にステント(骨盤腔内の血管病変に使用)、薬剤溶出性ステント(主に大腿動脈病変に使用)、薬剤コーティングバルーン(主に大腿動脈病変に使用)、バルーン(主に膝下動脈以下の細い血管に対して使用)等を使用し治療を行っています。当院では年間30~70件のEVTを行っています。
急性期には、必要に応じてスワンガンツカテーテルを挿入し心血行動態をモニタリングしつつ加療を行っています。また重症心不全に対しては、薬物療法に加えて、大動脈内バルーンパンピング(IABP)、持続的血液濾過透析(CHDF)等も積極的に導入し心不全管理を行っています。
典型的な動悸や体調不良を主訴とする有症候性の不整脈から、健康診断で指摘されるような無症候性の不整脈まで診療範囲は及びます。不整脈の分類は、あるべき脈が減っている“徐脈性不整脈”と、余計な脈が増えている“頻脈性不整脈”に大別されます。治療適応の原則は有症状の不整脈は治療を検討し、無症状の不整脈に関しては生命の危機があるのならば治療を検討することとなります。一見無症状でも隠れて心臓に負担をかけている場合があり、その場合は有症状に準じた考え方に切り替えるときもあります。
徐脈性不整脈については原因の検索を行い、必要に応じた薬剤調整、必要ならばペースメーカーの植え込みを実施しています。ペースメーカー植え込みについては、従来型の経静脈リードを用いた皮下植え込みは当然のこと、リードレスペースメーカも症例に応じ対応します。
頻脈性不整脈についても原因の検索を行い、必要な薬剤調整、そして必要ならばカテーテルアブレーションを実施しております。カテーテルとは管、アブレーションとは焼灼という意味です。不要な脈を作っている電気的興奮をなくすように、血管経由で心臓を切り開くことなく心臓を焼灼します。心臓の収縮に問題がないのに不整脈で悩まされる患者様は多くいらっしゃいますが、そのような患者様はカテーテルアブレーションで根治が得られる可能性が十分にあります。特に心房細動については、高齢化社会を反映しカテーテルアブレーションのニーズが高い疾患です。長期経過の心房細動になると治療成績が不良となってくるため、早期の治療がお勧めです。当院ではクリニカルパスを用いた入院加療を行っております。麻酔方法については疾患に応じて調整しておりますが、心房細動については焼灼中の苦痛除去に深鎮静で治療を行っております。
アブレーション総数47例(心房細動36例、その他発作性上室性頻拍や心室性期外収縮など11例)
新規ペースメーカー植込み術12例
2021年実績・・・
アブレーション総数73例(心房細動49例、その他発作性上室性頻拍や心室性期外収縮など24例)
※心臓電気生理学的検査のみ2例
新規ペースメーカー植込み術17例
当院は、日本不整脈心電学会が主導するデータベースプロジェクトに参加し、当科でカテーテルアブレーション治療を受けられた全ての方の臨床情報をJ-ABに登録しています。このプロジェクトは、日本におけるカテーテルアブレーションの現状(治療実施施設の数、術者の数、不整脈の種類、合併症の割合等)を把握することにより、カテーテルアブレーションの不整脈診療における有効性・有益性・安全性を明らかにすることを目的としています。
詳細は、J-AB ホームページをご覧ください。
カテーテルアブレーション全国症例登録研究について
西村 英樹 (にしむら ひでき)
日本内科学会 認定内科医、総合内科専門医
日本循環器学会 専門医
日本心血管インターベンション学会 専門医・指導医
東京都 難病指定医
医学博士
榎本 典浩 (えのもと のりひろ)
日本内科学会 認定内科医
日本循環器学会 専門医
日本不整脈心電学会 不整脈専門医
植込み型除細動器/ペーシングによる心不全治療研修修了
リードレスペースメーカー実施医
目瀨 亨 (めせ とおる)
日本内科学会 認定内科医
日本循環器学会 専門医
水野 晃宏 (みずの あきひろ)
岡田 豊 (おかだ ゆたか)
品川 香 (しながわ かおり)
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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午前 | 西村 英樹 |
目瀬 亨 |
品川 香 | 岡田 豊 | 榎本 典浩 目瀬 亨 |
交代担当医 |
ペースメーカー外来 (1・3週) |
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午後 | 西村 英樹 |
佐藤 将敬 榎本 典浩 |
― | 岡田 豊 | 水野 晃宏 | ― |
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