開催報告 地域連携セミナー『高齢者 大動脈弁狭窄症とTAVI』(2024.09.18)

開催報告 地域連携セミナー『高齢者 大動脈弁狭窄症とTAVI』(2024.09.18)

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地域連携セミナーを開催しました

9月18日(水)19時より、当院にて地域医療連携セミナ―をZoomによるオンラインと対面のハイブリット形式で開催しました。

座長を循環器内科 部長 榎本典浩が務め、講師として、心臓血管研究所付属病院 循環器内科 冠動脈疾患担当部長 嘉納寛人先生をお招きし、『高齢者 大動脈弁狭窄症とTAVI』をテーマにご講演いただきました。
ご視聴ならびにご参加いただきました医療機関様、ありがとうございました。

大動脈弁狭窄症(AS)とTAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)

講演では、大動脈弁狭窄症(AS)の原因、症状、予後について説明され、2013年以降普及してきたTAVIについても解説されました。日本におけるAS潜在患者数は70〜140万人と推定されており、その中にはASに気づいておらず、TAVIによる治療が必要な患者さんも含まれています。

症状を訴えない「偽の無症候性AS」

高齢の患者さんは日常生活での活動を無意識に制限する傾向があり、重症であっても症状を年をとったせいだ」と自覚していないことがあります、と実際の症例を紹介しながら解説されました。
1年からここ2~3年前と比べて、できなくなったことがないか、具体的に確認すること大切です、と説明。歩行が遅くなったり、肩で息をするなどの変化がないか、ご家族など身近な方に聞いてあげることも重要です、と話されました。
治療の適切なタイミングが遅れると、身体機能は低下し、QOLの低下は進行します。適切なタイミングで治療することで生命予後改善だけでなく、QOL改善も期待でき、「長生きはしたいがつらい思いはしたくない。周りに迷惑をかけたくない。」といった高齢者の治療ニーズを満たすためには、低侵襲治療(TAVI
)を含むさまざまな治療法の適応を決定することが重要です、と語られました。

 

高齢者の心房細動と経皮的左心耳閉鎖術


WATCHMAN FLX™

2050年には、心房細動患者は103万人に達すると予測されています。心房細動患者は血栓ができやすく、全脳梗塞の30〜40%が心房細動によるものとされています。脳梗塞を予防するために、抗凝固療法が行われています。血栓の90%以上が左心耳に限局してできており、左心耳でできた血栓が原因で脳梗塞を発症することを防ぐために、「経皮的左心耳閉鎖術」が行われます。使用するデバイス「WATCHMAN FLX™」の解説がされ、現在普及が進んでいる治療法であるため、選択肢としてぜひ知っておいてほしいと締めくくられました。

次回のご案内

第6回地域連携セミナー 10月17日(木)19:15~ 多目的ホール
  • 特別講演『地域ニーズに応える在宅医療~コミュニティホスピタルの役割~』
  同善病院 副院長 在宅医療センター長 コミュニティ支援室長 小笠原雅彦 先生

  • 心不全を念頭に置いた高血圧診療:ARNIへの期待
  日本医科大学付属病院 循環器内科 助教 渡邉将央 先生

ハイブリット開催を予定しておりますが、
会場にて多くの医療機関様、医療従事者の皆さまのご参加をお待ちしております!