産婦人科では子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症といった病気に対して薬による治療だけでなく手術による治療が行われています。
10年ほど前まで開腹手術と呼ばれるお腹を10cmから15cmくらい切開して行う方法が選択されることが多かったですが、近年そのほとんどが内視鏡を使った手術で対応できるようになりました。
産婦人科で行う内視鏡手術は胃カメラなどの消化管の中を覗く内視鏡とは多少性質が異なり、腹腔鏡という皮膚を小さく切開して
お腹の中に入れる内視鏡や子宮鏡という腟を通して子宮の中に入れる内視鏡を使います。
このような内視鏡手術は傷が小さく目立たないことから女性の病気を治療する産婦人科の手術では多くのニーズがあります。
また、術後の痛みが少ないことから入院の期間が短く済むことも忙しい女性にとって大きな利点となります。
このようなことからこの10年ほどの間に内視鏡手術は急速に産婦人科手術の中心的方法として広まりました。
内視鏡手術は今や特別な治療方法とは言えませんが、技術面で高度な手技を要求されるため医師の経験が重要です。
現在日本には日本産婦人科内視鏡学会の技術認定医制度があります。
この認定制度がすべての判断基準となるわけではありませんが、患者さんにとって一つの指標となるかもしれません。
当院にはこの技術認定を取得した医師が複数名在籍ており、ほぼ全ての内視鏡手術に入ります。
安心して患者さんが内視鏡手術を受けられるよう医師、外来スタッフ、病棟スタッフ、手術室スタッフが協力してサポートしていきます。
おへその中を小さく切開して腹腔鏡を挿入して手術を行います。この傷はおへその中に隠れてしまうためほとんど目立たなくなります。
病気を切除するための道具を挿入する傷口がお腹に何か所かつきます。通常1cm前後の長さの傷が3か所程度です。
最近では病気の状態によっては数を減らしより傷口の少ない手術方法も取り入れています。
手術のときは炭酸ガスをお腹にいれて、お腹を膨らませた状態にして手術をします。
麻酔がかかった後のことなので心配はいりませんが、手術後にわずかに残ったガスの影響で肩が痛んだりお腹が張ったような感じをうけるかもしれません。そういった症状は数日で自然によくなります。
手術の1~2日前の午後に入院していただきます。
手術の前日は腸の中に便を残しにくい食事や薬を飲んでいただきます。
手術当日は朝から点滴をします。
手術室に入ると間もなく全身麻酔で眠っていただきます。手術の時間は手術の種類により大きく異なりますので担当の先生にお尋ねください。
手術が完全に終了したところで全身麻酔から覚めます。
意識は戻りますが、痛みを感じにくくするための点滴を使用しますので少し朦朧とした状態で病室に戻ります。
手術後の痛みは痛みを感じる前から鎮痛剤を使用しますのでご安心ください。
もし効果が不十分な時には様々な方法を追加して痛みを抑えるようにします。
手術の翌日には歩きます。食事も重湯から開始します。手術後4日から5日で退院となります。
退院の時点では多少痛みはあっても歩いたり、日常の基本的な生活はできる程度に回復しています。
仕事への復帰時期は個人差もありますので担当の先生にご相談ください。
永寿総合病院産婦人科所属日本産婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡手術)
・部長 小田 英之
・部長 山田 朝子
・渡辺 紗奈
費用については病状や病室のご希望、健康保険によって異なりますので外来受診時にお尋ねください。
費用の概算
3割の患者負担で概算は以下の通りとなります。
腹腔鏡下子宮筋腫核手術 | 約25万円 |
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腹腔鏡下卵巣腫瘍切除術 | 約21万円 |
腹腔鏡下腟式子宮全摘術 | 約31万円 |
子宮鏡下子宮筋腫摘出術 | 約13万円 |
あくまで概算ですので差額病室代、その他の理由によりこの額を上回ることがありますのでご了承ください。
腹腔鏡手術 146件 | 子宮鏡手術 83件 |
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対象期間:2022年1月31日~2022年12月31日
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