臨床検査科

臨床検査科

臨床検査科の方針

「病院の理念・職員の行動規範を基に、臨床検査を通じて患者様への恩恵を旨とし、チーム医療に貢献する」


概要

臨床検査科は患者様から採取された検体を扱う検体検査、細菌検査、病理検査、患者様を直接検査する生理機能検査を行っています。現在、臨床検査技師41名(常勤37名)と受付事務6名が各部門を担当し、検体が正しく採取されているか、得られた結果が信頼性の高いものか常に確認しながら、迅速に臨床へ結果を報告できるように心がけています。また臨床検査の進歩はめざましいものがあり、積極的に勉強会や学会に参加することで最先端の検査が実施できるように日頃より努めています。

検体検査

  1. 一般検査
    一般検査では主に尿検査と便検査を行っています。
    尿検査は分析機や顕微鏡を使って、尿中の成分(糖・蛋白・潜血など)や細胞を測定しています。また、妊娠反応も行っています。
    便検査は便潜血や寄生虫などを調べています。
    その他に胸水、腹水、髄液、関節液、肺胞洗浄液、精液などの検査も行っています。

    尿の自動分析装置
       


    顕微鏡で尿中の細胞をみています

    →尿検査、便潜血検査検体採取の注意点、採血受付時間はこちら


  2. 生化学・免疫・その他検査
    生化学検査は、血液を遠心分離した時に得られる上澄み成分(血清)や、尿を使用し、肝機能、心機能、腎機能、各種蛋白成分、脂質代謝検査等を行っております。また、免疫検査ではB型・C型肝炎ウイルスや梅毒などの感染症検査、甲状腺ホルモンなどの内分泌検査、癌などで異常値を示す各種腫瘍マーカー、血液中の薬物の濃度などを測定しています。
    一部のウイルスや細菌(インフルエンザ、アデノ、ロタ、溶連菌など)は、簡易キットを用いて迅速に結果を出して、患者様の疾患を診断するのに役立てています。
     
    生化学検査・免疫学的検査の自動分析装置
     
    ウイルスの迅速検査キット

     テストライン(T)が出ているヒトメタニューモウイルス(hMPV)が陽性です


  3. 血液検査
    血液検査は、採血された血液を自動分析装置で測定し、赤血球数、白血球数、血色素量、ヘマトクリット値、血小板数などを調べます。異常がある場合、塗抹標本を作り顕微鏡で赤血球の形態や白血球の分類を行っています。
    また、骨髄検査等を行い、白血病などの血液疾患の診断や治療効果の判定に役立てられます。凝固検査は血液が固まるまでの時間を調べるもので、手術前の検査としても行われます。

    血液検査・凝固検査の自動分析装置


     

     
    顕微鏡で血液中の細胞分裂、形態の確認をしています


  4. 輸血検査
    輸血に必要な血液型、不規則性抗体、交差適合試験などの検査や、輸血用血液製剤の供給、保管管理なども行っています。
    また、自分の血液を事前に採血し手術時に備える自己血や、末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の処理や保管管理も行っています。


     
    輸血検査自動機器                                     輸血予定の方の血液製剤を保管・出庫しています

2階採血室では、患者様に採血、採尿をしていただき、隣の検査室で迅速に検査を行っています
   

       

各検査項目についてはこちら

採血・採尿へお越しの患者様へ

 
                    

病理検査室

病理検査

病理検査室では、病理組織検査・術中迅速診断・細胞診検査・病理解剖を行っています。

  1. 病理組織検査

     内視鏡や手術などで採取された組織を標本にして顕微鏡で観察します。

     病変が良性か悪性かの鑑別や、癌の広がりや転移の有無といった進行度の決定などを行います。

     
    手術室から提出された大腸の検体(症例:大腸癌)                                            標本にして顕微鏡で組織を観察します
    中央付近の大きく隆起している部分が癌です

  2. 術中迅速診断

     手術中に組織の一部を採取し、標本にして顕微鏡で観察します。

     おもに病変が良性か悪性かの鑑別や、病変部が取り切れているか、転移がないかなどを調べます。

     この結果により手術方針が決定されます。

  3. 細胞診検査

     尿・喀痰・体腔液などに含まれる細胞や、病変部から擦過・穿刺などにより採取された細胞を標本にして顕微鏡で観察します。

     腫瘍性病変を疑う細胞の有無や、良性か悪性かの鑑別などを行います。

    喀痰などの検体をスライドに塗りつけて標本を作製します               顕微鏡で細胞を観察します(症例:肺腺癌)

  4. 病理解剖

      不幸にして亡くなられた方のご遺族の承諾のもとに行われます。死因を明らかにするためや、診断や治療効果の検討などのために行います。
    これらの結果は、今後の診断・治療といった医療の発展に大いに役立たせて頂いております。

細菌検査室

細菌検査

細菌検査室では、患者様から採取された検体(喀痰・尿・便・膿・血液など)を様々な培地を用いて培養し、どのような原因菌がいるかを見つけ出し、その菌にどの抗生剤(抗菌薬)が効くかなどを調べています。
また、新型コロナウイルスのPCR検査、抗原検査も行っています。
 
尿や痰などの検体を培地に塗ります                                          数日培養した培地をみて原因菌を推定します

 
顕微鏡でどのような菌がいるか観察します                               新型コロナウイルスPCR検査も行っています

生理検査室

生理機能検査

主に、心電図・肺機能・超音波・聴力・脳波・筋電図などの検査を行います。
検査予約時間前までに生理検査受付にて受付をお済ませください。

1.心電図検査
  • 行っている検査
  安静時心電図、3分間心電図、ODテスト、RR間隔解析

   胸部、手首、足首の素肌に電極をつけて、心筋の収縮に関連した電気の変化を波形として記録します。

   心臓病の発見や診断・病状の把握・治療効果の確認等に欠かせない検査です。

   不整脈、心筋梗塞や狭心症などの診断に有用です。

  •   注意事項

  ・胸部と手足の出しやすい恰好でお越しください。

  ・飲食や行動の制限はありません。

2.負荷心電図

 階段昇降などの運動により心臓に負荷をかけ、このときに現れる胸痛などの症状や心電図変化を確認し、
 虚血や不整脈の判定をする検査です。

  •  注意事項

  ・胸部と手足の出しやすい恰好でお越しください。

  ・飲食や行動の制限はありません。

3.ホルター心電図
  •  行っている検査
  24時間ホルター心電図、長時間(1週間)ホルター心電図、携帯型心電計(2週間)

   胸部にシール状の電極を貼り、装置とつなげて心電図を24時間記録する検査です。

   翌日は、装着時刻(記録開始から24時間後)に機械を外しに来院して頂きます。

  •   注意事項

     ・24時間心電図装着中は浴槽への入浴はできません。シャワー浴のみ可能です。

     ・電気毛布のご使用はお控えください。

     ・飲食の制限はありません。

4.血圧脈派検査(PWV/ABI)

  両腕・両足に血圧計を巻いて検査します。動脈硬化、特に閉性性動脈硬化症の診断に有用です。

  • 注意事項

   ・飲食や行動の制限はありません。

5.肺機能検査
  • 行っている検査
 簡易肺機能検査(VC、FVC)、精密肺機能検査(VC、FVC、FRC、DLco)、気道可逆試験

  肺活量、換気能力、気道の異常、拡散能力などを調べる検査です。
  喘息や肺気腫などの呼吸器疾患の診断に有用です。
  マウスピースを口にくわえ、息を吸ったり吐いたりして行う検査です。

  • 注意事項

   〇精密肺機能検査を受けられる方

     ・検査当日は12時間前から禁煙をお願いします。

     ・常用薬は通常通り服用してください。

     ・飲食の制限はありません。

   〇簡易肺機能検査、気道可逆試験を受けられる方

     ・飲食や行動の制限はありません。

6.超音波検査
  • 行っている検査
 心臓超音波、上・下腹部、乳腺、甲状腺、頸動脈、下肢動・静脈、腎動脈、その他表在・血管

  検査部位にゼリーを塗り、探触子を当てて検査します。

  放射線を使用しない検査のため、被爆の心配が無く、体への負担が少ない検査です。

  そのため、小さいお子様や妊娠中の方でも安心して検査を受けることができます。

  •  注意事項

   〇心臓超音波検査を受けられる方

     ・飲食や行動の制限はありません。

   〇上腹部超音波検査を受けられる方

     ・お食事は予約時間の6時間前までにお済ませください。

     ・牛乳、ジュース、コーヒーなどの飲料6時間前までにお済ませください。

     ・お水・お茶(無糖)のみ検査開始1時間前までお飲み頂いて結構です。

     ・常用薬は通常通り服用してください。

     ・上下分かれる服装でお越しください。

   〇下腹部超音波検査を受けられる方

     ・膀胱内にお小水が溜まった状態でご来院ください。

      お手洗いに行きたい状態で検査(30分程度)を受けていただきます。

     ・常用薬は通常通り服用してください。

     ・飲食の制限はありません。

     ・上下分かれる服装でお越しください。

   〇腎動脈超音波検査を受けられる方

     ・飲食は予約時間の6時間前までにお済ませください。

     ・お水・お茶(無糖)のみ時間に関係なくお飲み頂いて結構です。

   〇乳腺、甲状腺、頸動脈、下肢動・静脈、その他表在・血管超音波検査を受けられる方

     ・飲食や行動の制限はありません。

7.経食道心臓超音波検査

  口から超音波検査機器を挿入して、食道から心臓を観察する検査です。

  経胸壁心臓超音波では観察困難な部位の詳細な観察に有用です。

  • 注意事項

   〇経食道心臓超音波検査を受けられる方

     ・飲食は予約時間の4時間前までにお済ませください。

     ・お水のみ検査開始1時間前までお飲み頂いて結構です。

     ・常用薬は通常通り服用してください。

     ・上下分かれる服装でお越しください。

     ・医師の判断により鎮静剤を使用することがあります。

     ・薬剤のアレルギー、食道の病気がある方は事前に申し出てください。

     ・検査終了後は飲食をせずに院内で1時間休んだ後、むせずに水が飲めることを確認してからお帰りいただきます。

     ・麻酔を使用するため、ご自身の運転ではなく公共交通機関や付き添いの方の送迎でご来院ください。

8.聴力検査
  • 行っている検査
 標準純音聴力検査(気導、骨導)、語音聴力検査、補聴器適合試験、耳音響反射(OAE)

    防音室にて「きこえ」の検査をします。難聴等の診断に有用です。

  •  注意事項

   〇補聴器適合検査を受けられる方

     ・普段使用している補聴器をお忘れなくお持ちください。

     ・飲食や行動の制限はありません。

   〇その他聴力検査を受けられる方

     ・飲食や行動の制限はありません。

9.尿素呼気試験

  診断薬を服用し、薬の服用前後の呼気を集めて診断します。ピロリ菌感染の診断に有用です。

  • 注意事項

     ・お食事は予約時間の6時間前までにお済ませください。

     ・牛乳、ジュース、コーヒー、お茶などの飲料6時間前までにお済ませください。

     ・お水のみ検査開始1時間前までお飲み頂いて結構です。

     ・常用薬は通常通り服用してください。

10.脳波検査

 頭にキャップをかぶりゲルをつけ横になっていただき、脳の電位の変動()を記録します。

 てんかんなどのけいれん性疾患の診断に有用です。

  •  注意事項

     ・頭に電極を装着しますので、整髪剤等は使用しないでください。

     ・検査終了時、髪がぬれたような感じになります。気になる方はくしや帽子等をご持参ください。

     ・飲食の制限はありません。

11.筋電図検査
  • 行っている検査
 神経伝導速度、針筋電図

  神経や筋肉の障害をみる検査です。検査の種類によっては痛みを伴う検査です。

  •  注意事項

     ・手足の出しやすい恰好でお越しください。

     ・飲食や行動の制限はありません。

12.聴性脳幹反応(ABR)

   脳内の聴覚機能を調べる検査です。

 頭部に電極を付け、ヘッドホンから聞こえる音を聞いていただきます。

  • 注意事項

     ・飲食や行動の制限はありません。

13.終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)

 脳波、鼻からの気流、筋電図、血中酸素飽和度などの生体活動を一晩にわたって測定します。
 睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害の診断に有用です。

  • 注意事項

     ・指先にクリップを装着し血中酸素飽和度を測定しますので、マニキュア等ネイルアートは外してきてください。

     ・飲食の制限はありません。
                    

2階生理検査受付
エレベーターを降りてすぐ左手にあります


心電図検査室

超音波検査室
心臓、腹部など様々な部位を検査しています


   
                                                          

    資格

    認定機関 認定資格   取得者
    日本臨床衛生検査技師会 医療安全管理者 1名

    認定救急検査技師

    1名

    認定心電図検査技師

    1名
    中央労働災害防止協会 特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者 3名
    有機溶剤作業主任者 1名
    厚生労働省 毒物劇物取扱責任者 1名
    日本糖尿病療養指導士認定機構 日本糖尿病療養指導士 1名
    日本臨床微生物学会 感染制御認定臨床微生物検査技師【ICMT 1名
    認定臨床微生物検査技師 1名
    日本検査血液学会 認定血液検査技師 1名
    International Academy of Cytology(IAC) 国際細胞検査士 2名
    日本臨床細胞学会 細胞検査士 3名
    東京防災救急協会 上級救命認定 1名
    日本超音波医学会 超音波検査士 循環器 1名

    消化器

    2名
    体表臓器 2名
    健診 1名
    日本臨床検査同学院 二級臨床検査士 血液 1名
    微生物 2名
    病理 3名
    緊急臨床検査士 2名
    日本不整脈心電学会 心電図検定 1級 2名
    2級 2名
    4級 1名
     
    臨地実習指導者 1名
    検体採取等に関する厚生労働省指定講習会修了者 36名
    タスク・シフト/シェアに関する厚生労働大臣指定講習会修了者 7名

    2024.07現在